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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
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オリクスとクレイクオリクスとクレイク
(2010/12/17)
マーガレット・アトウッド

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ボッスの名画を配した表紙に惹かれて読んでみましたが、面白かった~!

人工的な疫病によって人類が滅んだ、近未来。主人公の「スノーマン」は、人類ただ一人の生き残り。
そして「オリクス」は、彼がただ一人、真摯に愛した女性の名前、「クレイク」は彼のたった一人の親友の名前。
要するに、友情と三角関係の物語ですが、その三角関係が人類を破滅させてしまうとは・・・。

最近のSFによくある、遺伝子改変によって新しい食用家畜や新しい疫病(と、その治療薬)がつぎつぎと開発されている近未来。
主人公のジミー少年(のちにスノーマンと名乗る)は、天才少年クレイクと友人になるが、二人がインターネットのエロサイトで偶然に発見した少女がオリクス。二人の少年は、お互い黙っているが同時にオリクスに心を奪われる。
やがてクレイクは、その天才を発揮して次々に遺伝子工学での画期的な発明を成し遂げてゆくが、彼の真の目標は、お互いに争わず、穏やかで満ち足りた新しい人類(「オクリスの子ら」と呼ばれるようになる)の創造だった・・・。

人類破滅後の、スノーマンの語りで話が進んで行きますが、結局、パンデミックの為に人類が破滅してしまうのも、クレイクという天才であるがゆえに自分の嫉妬心やら復讐心やらを自覚できなかった男のしでかした事なのかも知れない、という、100%SFでありながら、むしろ心理描写や人間関係に重きを置いた、純文学として読んで面白い本です。

カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」(臓器を摘出する目的で育てられた、クローンの子供たちの話)もそうでしたが、普通の純文学作家がこういったSF的な題材を扱うことによって、極限状況の人間のギリギリの心理を描こうとする小説が最近多いと思います。SF的な題材に対する敷居が低くなったというか。
昔からSF大好きな、私のような人間からすると、そういったSFより文学はSF臭(センス・オブ・ワンダー)が無くて物足りなかったりもするのですが、SF作家の作品にはない、リアルな心理描写や文章の華麗さなどがあるので、これはこれで良いと思います。

この「オリクスとクレイク」では、ただ一人生き残ったスノーマンが文系の人間で、いろいろな難しい言葉や珍しい言葉をたくさん知っているのですが、それらの言葉をもう誰にも伝えられない、自分が死んだらそれと共にこれらの言葉も失われていく、と思っているのが切なく、はかなくてじんと来ます。
いつも現実に不満で、とうとう家を出てしまうジミーの母親や、天才ならではの魅力にあふれたクレイクなど、惹きつけられる人物も多いです。

この作者は以前に「侍女の物語」という本を書いていて、SFの世界で話題になっていました。
「オリクスとクレイク」を読んでみたら作家としての実力やセンスの良さをすごく感じましたので、「侍女の物語」は未読だったのですがとても読んでみたくなりました。

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)
(2001/10)
マーガレット アトウッド

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