プロフィール

イザク

Author:イザク
好きな物・好きな人(順不同)

昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
西尾維新先生。舞城王太郎先生。荒木飛呂彦先生。奥泉光先生。円城塔先生。津原泰水先生。山岸涼子先生。松本大洋先生。三上骨丸先生。白鵬様。食パンちゃん。

カテゴリ

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


闘志!
根性!
そして狂気・・・!


2014年アカデミー賞のダークホース、「セッション」はホラーでもサスペンスでもアクションでもないのに、見ている間ずっと心拍数が上がりっぱなし、緊張のあまり身動きもできないような迫力満点の映画。
ラストシーンでは鳥肌が立ちました。
口コミで評判が広がり、封切り当初よりも上映映画館も拡大しているようですが、本当に、これこそ映画館に行く価値のある映画。
映画に一番必要なもの、それは情熱。映画に限らず、やはり人を感動させるものの根本には情熱があるのだなあ、などと思ったり。

ドラマー志望で19歳のアンドリューは、名門のシャッファー音楽学校で、指揮者として名高いフレッチャーに才能を見出され、彼のバンドにスカウトされる。しかしフレッチャーの指導は超スパルタで、暴力と罵声を浴びせられる日々。アンドリューは恋人とも別れ、文字通り血のにじむ特訓を自らに課してフレッチャーを見返してやろうとする。
コンクールの当日、バスが故障し集合時間に間に合わなかったことがきっかけでアンドリューは大怪我をしたうえにフレッチャーに掴みかかり、学校を退学となる。
数か月後、アンドリューが弁護士に話をしたせいでフレッチャーは音楽学校をクビになっていた。地元のクラブで演奏していたフレッチャーはアンドリューに声をかけ、自分のバンドに誘う。
理不尽なまでに厳しかったフレッチャーの、演奏家を育てたいとの情熱、真意に触れたと感じたアンドリューは、ふたたびフレッチャーのバンドにドラマーとして参加するのだが・・・。

もうとにかく、フレッチャーを演じるJ・K・シモンズ(この映画でアカデミー助演男優賞受賞)の狂気を帯びた指導っぷりがすさまじいのです。ちょっとでもテンポや音程が狂えば、何十回でもやり直させ、罵声を浴びせ物を投げつける。気の弱い生徒は泣きだして教室を去る。
「巨人の星」もビックリの、超スポ根世界。
とにかく、根性のない奴はついてこれない。そして、「なにくそ!」と思って奮起するような負けん気、執念のある奴でないと残れない。
そして、フレッチャーの狂気を超える狂気を持った奴じゃないと勝てない・・・!

スポーツとか芸能とか、一流になる人たちってこんな恐ろしい世界をくぐってきているんでしょうか・・・。
みんながみんな、とは思わないけど、やっぱりこういう狂気スレスレのところで燃え尽きるようにして最高のパフォーマンスを残すタイプの人っていうのもいるんだろうなあ・・・。遠くから見ている分にはカッコイイけど、身近で付き合いたくはないなあ。

フレッチャーを演じたJ・K・シモンズの演技が話題になっているようですが、アンドリュー役のマイルズ・テラーの鬼気せまる演技がまた凄まじい。
最初登場した時は何だかなまっちろい、のほほんとした顔だと思っていたのですが、ドラムを叩いていて極限を超えた時に顔つきが一変するのが恐ろしい。身体は疲れ切っているのに精神だけが高揚している時の目の座り方も凄い。
ラスト、コンサートの舞台で汗と血を飛び散らせながらひたすらドラムを叩いている姿を見た時は「鬼神の如き」という言葉が頭に浮かびました。彼の熱演なしには成り立たない映画だと思います。

アンドリューの父親というのがまた、息子にやさしくて、一緒に映画を見ながらポップコーンを食べるような男で、優しいのはいいんだけど父親としては物足りない。フレッチャーの厳しい指導にアンドリューが喰らいついて行くのも、厳しいけれど偉大な父親像を心のどこかで求めていたからだろう、と思う。
だからこれは、青年が父親を超える物語でもあると思う。

(ここから先はややネタばれ)
最後のコンサートでフレッチャーがアンドリューに意地悪をするのは、結局フレッチャーは自分にも他人にも厳しい指導者であると同時に、個人的な恨みを忘れない小物でもある、という事だと思う。
最初は理不尽で横暴な奴。次に、真に音楽や生徒のことを考え、自ら嫌われ役を買って出ている人情味のある奴。そして最後に、実は小物。
フレッチャーという男の素顔が最後までよくわからず、それに振り回されるアンドリュー。
やられっぱなしでは収まらない、今度はこちらから叩き潰してやる、と覚悟を決めたアンドリューがステージで勝手に演奏をはじめたとき、最初フレッチャーは困って手持ち無沙汰になってしまうのですが、アンドリューの演奏が熱を帯びてくるのにしたがって、「この曲を最高の仕上がりにしたい。このステージを最高のものにしたい」という気持ちが湧き上がってきてしまう。お互いに心から嫌いあい、憎みあっているにも関わらず、アイコンタクトで心を通じ合わせてバンドの他メンバーをうまく指揮し、完璧なタイミングで曲を終わらせるフレッチャー。まったく個人的な敵対心からはじまったアンドリューの暴走を、至上まれにみる名演として演出し、完成させてしまいます。
音楽を愛するものの一人として、アンドリューの熱演に心を動かされ、私情を捨てて曲の完成に奉仕してしまう。
アンドリューもフレッチャーの意を汲み、彼の指揮に従っていく。
「音楽」というものの持つ力、というか魔性のようなものがこのラストから感じられ、演奏自体のパワーも圧巻で、ここでザワッと鳥肌が立ったところでいきなりエンディング。この終わり方も凄かった。
しかし、あの後アンドリューとフレッチャーはどうなるんだろう・・・。
ステージ上ではうまく協力できたけど、なんか仲良くなりそうにはないよね。フレッチャーだけならまだしも、アンドリューというのも相当癖の強い奴だからね・・・。
結局、音楽映画というよりも二人の男の意地の張り合い、みたいな話だしね・・・。
途中でアンドリューに振られてしまうニコルという女の子も、あのアンドリューと付き合っていくのは大変ですよ。別れて正解です(笑)

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://isaac936.blog.fc2.com/tb.php/1214-1f7d7b54

 BLOG TOP