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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
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518-9zClTnL__SX344_BO1,204,203,200_「プロローグ」円城塔・著 文芸春秋社・刊
2015年秋、円城、無双。

「シャッフル航法」
「エピローグ」
「雨月物語 現代語訳 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11)」
そしてこの「プロローグ」

この秋、円城塔が次々と新刊を発表しています。しかもその内容が、攻めてるっていうか、常に挑戦的というか実験的というか・・・。
一言で言うと「怖いもの無し」、無双状態です。
この感じ、私が若い頃の筒井康隆、「虚構船団」とかを書いてた頃の筒井康隆を思い出すなあ・・・。当たるを幸い、なぎ倒しちゃってるよなあ・・・。

「プロローグ」は作家である「わたし」が、作品の背景となる地「カナン(川南または河南)」と、登場人物となる13の部族を最初に決めて、その登場人物たちの設定、行動を書き継いでいくのと同時に、物語を生成していくプログラムや日本語の表記のことを考察する。13人の登場人物たちは自分の置かれている設定を意識しつつ、物語のはじまりの謎に迫っていく。

大まかに作品を説明すると、こんな感じなのですが、この作品から受ける印象はやはり「私小説」というか、「円城塔のひとりごと」。
円城塔が文章を書くとき、こんなことを考えてるのか、なるほどな、ワッケわからんわ、という感じです。
先日、「シャッフル航法」出版記念サイン会に行ったとき、円城さんが「小説を自動生成するプログラム」の話や、「なぜまだ紙の本があるのか。すべてデジタルデータにすればいいのに」とか、「自分が小説で使う形容詞をプログラムでカウントしてみたら・・・」とか、物語ること、言葉、についてのいかにも理系な発言の数々に驚いたものでした。
しかしあの時の発言の数々は、実はこの「プロローグ」で「わたし」がつぶやいていた言葉の数々と同じだったのね。
そのあたりが、私がこの「プロローグ」対して感じる私小説というか楽屋落ち小説っぽい感じ、やりたい事やっちゃってる感じ、無双っぽい感じのもとになっています。
作品中に作者が出てきて創作裏話を語りだす、こういう事はやはり全盛期の筒井康隆がよくやってた記憶があります(「虚構船団」も第二部が確かそんなパートだった)。

しかし、この「プロローグ」に出てくる13の部族の苗字、というのがなんと、朝戸(アサド)であったり榎室(エムロ)であったり蔵人(クラビト)であったり英多(アガタ)であったりするのです。そう、先月早川書房より発行された「エピローグ」の登場人物たちの名前。
しかも英多は「船長」であったり、榎室は「イザナミ・システム」の開発者であったり、設定までも共通しています。
と、いうことは・・・?
「プロローグ」で名前とともに生み出された部族たちが、架空の地で繁栄し、やがてOTCの侵攻を受けて現実から撤退していく姿を描いたのが「エピローグ」ということなのか?
「プロローグ」と「エピローグ」があるなら、本編もやがて何らかの形で書かれうるものなのか?
作中で語られる、古い地層から出てくる巨人の骨の謎や、駅の地下に広がる空間の謎、などなど、この先に続くと思われる話もありますしね?

内容は私小説っぽいひとりごとの他に、登場人物たちの細かいエピソードの積み重ねですが、中でも妙に日本の遺跡や伝承に詳しい「ペドロ」の薀蓄が面白い。円城塔が理系ひとすじの人ではなく、民俗学的なものも大好きなのがよく分かります。
「日本語」に対する探究心、「日本史」についての興味。
ああ本当に、円城塔はこの先、どんな方向へ向かっていくのだろう・・・。

そしてこの小説が私小説であるならば、「わたし」の周囲に起こることは円城塔の周囲に起こっていることだということになります。
作中で「わたし」の家に赤ちゃんが生まれ、「わたし」はその子の写真をとるためにそれまで興味のなかったカメラを買いあさり、やたらカメラに詳しくなってしまうという、微笑ましいエピソードがあるのですが・・・?
これって、もしかして・・・おめでとうございます?
(ファンだと言っているわりに、円城塔のことを良く知らない)

何はともあれ、もはやひとりごとさえもが文学になる、無双な状態の作家の最新作、ケチくさい日常から離れて頭を柔らかくしたい人にはうってつけです。
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