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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
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ダリオ・トナーニ著・久保耕司訳
シーライトパブリッシング刊

日本のSFって英米のSFに比べて世界が狭いっていうか、自分たちだけで通じる部分でどんどん進化して「スゲー!」ってなってて、まあようするにカラパゴス化してるけどそれはそれで質が高いし面白くって、日本に住んでいるとそういう癖のある日本SFと王道を行く英語圏SFの両方を読めるのでとってもお得だなと常々思っておりました。
(SFに限らず、ミステリも文学もそういう出版状況で、更に日本では独自の「歴史小説」というエンタメから学術までカバーする大きな小説ジャンルもある。日本に生まれて良かった!)

この本の訳者あとがきによると、イタリアSFも似たような状況らしく、ワールドワイドな知名度こそないものの、イタリア語で書かれた面白いSFがたくさんあるとの事。
中でも、2012年に刊行され、イタリア国内のSF賞であるイタリア賞とカシオペア賞を受賞した本書「モンド9(ノーヴェ)」こそ、現代イタリアを代表するSFであるという。

「モンド9(ノーヴェ)」と呼ばれる、どことも知れぬ惑星。(モンドは「世界」という意味だから、「モンド・ノーヴェ」は「第9世界」とか「第9惑星」くらいの意味)
未来の地球の姿とも、宇宙のどこかに進出した人類の苦闘の記録とも、まったく異次元の人類の話とも分からない。ただ、ここに登場にる人間たちは現代の地球の人類と、肉体的にも精神的にも大差ない。
モンド9では地表の大半が砂漠で、しかもその砂は有毒。人間が触れると感染し、やがて人体が金属化してしまう。
人間たちは、その砂漠を横断するために巨大な機械の船で航行するのだが、この巨大船がまた、生きる金属とでもいうのか、人間のテクノロジーで誕生したものでないらしく、いつの間にか人間をエネルギー源として取り込もうとしたり、やりたい放題(笑)
宙を舞う無数の鳥たちと巨大船は互いに共生しており、鳥たちが生んだ金属の卵は機械の部品となる。
錆、ねじ、滑車、歯車、配管、蒸気、そして血と肉・・・。砂と金属の世界の話なのに、妙にドロッとしていて内臓の中のような感じ。
暗黒サイバーパンクというべきグロテスクな世界観。

・・・という感じで、まあ、ストーリーがどうこうというより、独特の世界を堪能する小説です。
しかし、これがSF大賞受賞って、イタリア人っていうのはわりとグロ趣味なのかなあ・・・。日本だったら、「好きな人は好きだけど、一般的には・・・」というタイプの小説だと思います。
個人的には、バラードの破滅もの「燃える世界」「結晶世界」あたりがどんどん悪趣味になった感じ、という印象。
あと、オールディスの「地球の長い午後」や椎名誠の「アド・バード」みたいな、想像&創造し放題の未来SFや、諸星大二郎の「生物都市」なども連想しました。
あ、あと西島伝法の「皆勤の徒」も連想したなあ・・・悪趣味度合がいい勝負って感じでw

とにかく世界観がキモカッコ良く、他に似たものがない独特さなのでそこに痺れてしまう人が多いらしく、イタリアではこの「モンド9」の世界を舞台にした20人の作者によるショートストーリー集や、「モンド9」のイラストレーターによるイラスト集も出版されているとのこと。
日本での伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」をめぐる状況とちょっと似ていますね。つまり、イタリアのSFファンや作家さんの間で大人気なのでしょう。
確かに、絵になりそうな世界ではあるし、そもそも作中でモンド9の設定がほとんど明確になっていないので、想像し放題ではありますね。

もう若くないせいか、この手のキモグロには恰好良さを感じられず、あまりピンと来なかったのですが、こういう変な世界を描くSF作家はかなり好きです。このダリオ・トナーニという人、訳者あとがきで紹介されている未訳の作品がやたら面白そうなので、翻訳されればいいなあと思っています。
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