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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
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心が曇っているとSFも素直に楽しめなくなるものであるなあ。
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ピーター・トライアス著:ハヤカワSF文庫。
ハヤカワSFシリーズ版も同時発売。

お正月休みに、久々に青い背中のハヤカワSFでも読もうと思い、表紙絵のカッコ良さにつられて上下そろえて買って読んでみたのですが・・・コレって表紙詐欺じゃない!?

「第二次世界大戦で日本がアメリカに勝利した世界。日本の統治下にある現在のアメリカで、『もしあの戦争でアメリカが日本に勝っていたら・・・』という内容のゲーム、『ユナイテッドステイツ・オブ・アメリカ』が人気を得る・・・」という、古いSFファンならすぐに、
「それってディックの『高い城の男』じゃないですかー!」
と喰いつくこと100%の内容です。
もちろん、ディック作品へのオマージュであることは作者自身が語っていることなのですが、本の帯にね、
「フィリップ・K・ディック『高い城の男』&『パシフィック・リム』の衝撃!?」って書いてあってね、あのディック作品を21世紀のオタク趣味満載で今風に蘇らせてくれたのなら、それは絶対面白いから読まねば、と思ったのですよ・・・。

結論から言うと、巨大ロボットはほとんど出ない(笑)
っていうか、この世界観にロボットが出る意味が分からない。日本軍、なんで唐突にこんなもの作ったの?(笑)
小説の中の「現在(1980年代)の」USJ、つまり日本合衆国は確かにハイテクの国ではあるのだけど、海の底からカイジュウが襲ってくるわけでもないのに巨大ロボって不要でしょ。開発費、維持費だって莫大だと思うし。
そもそも第二次世界大戦中にこれらのロボットはすでに開発されていたらしいのですが、それって日本またはドイツが何らかの形で(経済的に強かったとか資源豊富だったとか天才科学者がいたとか)実際の歴史とは違って、連合軍を圧倒していたということで、そこらへんの説明が無いままにいきなりこんなモノ出されても・・・。
しかも、必然性が無いシロモノなので、作中でも生かせておらず、「ここは別に普通に戦車とか戦闘機で良くね?」と思ってしまうのですよ。
いや、SFなんだから、絵空事なんだから、派手なほうがいいじゃない、という意見もあるかと思うのですが、絵空事には絵空事なりのリアリティが欲しいんですよ(SFファンはこういう部分にはうるさいと思う)。
ただ、「日本っぽい=巨大ロボ出しとけば良くね?」っていう、安易な発想に思える・・・。

んでもってね、この本では、作中の「現在の」日本合衆国が、戦時中と同じく特高警察による監視社会なのですよ。
戦争終わって何十年もたってるのに何故!?
確かに戦時中は、軍部の暴走とか中央集権的な思想強制みたいのあっただろうけど、「天皇陛下万歳~!」の精神で戦後数十年もの間アメリカを強権支配、とか、今現在のこのユルユルな日本を知っている身としてはあまりに現実と乖離というか、リアリティがなさすぎると思います。ディックの時代ならともかく。

主人公のベン(日本名は紅功)は少年時代に両親を「反社会的である」という理由で告発した過去を持っているのですが、そんな、中国の文化大革命みたいな、ちょっとでも密告があれば特高がやってきて無実の人間でも捕まえて、拷問して偽の自白をさせて処刑、みたいな社会、SFの世界の中だとしても、日本人としてあまりに無理があるというか素直に楽しめないというか。
いや、これがドイツ人の作った社会、と言われてもやはり納得できない。中国人の社会って言われたら納得するかも(笑・・・これってヘイトスピーチ?)
ベンが両親を密告する背景には泣かせる事情があって、この本の感動ポイントになっているのですが、なにしろそんな風に、日本人が必要以上に意地悪というか悪辣に描かれていて、話に入っていけませんでした・・・。

・・・とまあ、ここまでなら「期待したのに、残念だった。まあ、海外SFによくある『勘違いニッポン』だよね」で済む話なのですが。
訳者あとがきを読むと、作者のピーター・トライアスは韓国ソウル生まれで、アメリカと韓国の両方で少年時代を過ごしているのです。「アジア系アメリカ人」とも書かれていますので、人種的には韓国人で、「ピーター・トライアス」という名前はアメリカ人になった時につけた名前と思われます。
でもって、参考文献の中にアイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ南京」が。
まあ他にも沢山の本や資料にあたったようですが、第二次大戦中の日本を調べる資料として「ザ・レイプ・オブ・南京」の名を挙げるのか・・・?
日本に対する悪意、というか少なくとも日本に対する色眼鏡があったと言われても仕方ないんじゃないかな。
まあ私も、彼が韓国人だということで色眼鏡で見ているわけだが(またもやヘイトスピーチ)。
なんかね、日本のオタクカルチャーを楽しみつつ、人種としての日本人をサゲて日本のイメージを悪くしようという意図が感じられると言ったら言い過ぎでしょうか。
こんな事が気になって素直に小説の世界に入れないなんて、やはりSFは心が若くないと楽しめないのでしょうか。

っていうか、数十年ぶりにディックを読み返してみたくなったよ。
「高い城の男」は、易占をモチーフに現実と仮想世界が重なるディックらしい作品で、読んだのは中学生くらいだったと思うけど、すごく面白かった記憶があるもんなあ。日本人の扱いがどうだったかは忘れてしまったけど。
あのころは、日本人がサゲられていてもそれはそういうものとして面白がる心のゆとりがあったのだが・・・。

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