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Author:イザク
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桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
(2011/05)
奥泉 光

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不覚ですた。
奥泉光先生は劇愛している作家さんの一人なのに、このオサレな表紙を見て、若い人狙いで軽~く書かれた、『ユーモア学園ミステリ』かと思って、今まで食指が動かなかったんです。何となく、森見登美彦とか東川篤哉とか(どちらもあまり好きでない)っぽい感じもして。

で、この本、<若い人狙いで軽~く書かれた、『ユーモア学園ミステリ』>そのものなんですが、・・・奥泉先生が書けば、こんなに面白くなっちゃうんですね~。
ゆうべ、うっかり布団の中で読み始めたら止まらず、久々に真夜中一気読み。
以下、ネタバレのない感想です。

桑潟幸一、略してクワコー。
「モーダルな事象」という作品にも登場していた、超ダメダメ下流大学教授。
とにかく、教授のくせに研究らしき事はまったくせず、怠惰で小心者で気弱で人品卑しく僻みっぽく、向上心のカケラもなくプライドもなく、長い物には巻かれ大樹の陰にしか寄らない、腹が出てきた40歳の男が主人公なんですよ。
この表紙の左側のイケメン兄さん、赤い自転車に乗っている所を見ると、クワコーらしいんですが・・・詐欺だろこれー!(大笑)
ほんとにスタイリッシュな大学生活を思わせる綺麗な装丁なんですが、もうこれ自体がギャグだから(笑)

クワコーの通う「たらちね国際大学」は、千葉のド田舎にあり、偏差値底辺のおバカ女子大生たち(短大から4年制に変わったばかりなので男子生徒は一人しかいない)相手にクワコーは文芸部の顧問を務めることになります。
この文学部っていうのがもう可笑しくて可笑しくて、田舎の底辺校の文芸部にはそもそも腐女子しかいない(笑)
新入生が「村上春樹を読んでます」っていうだけで、読書家と言われてしまうような、そんな部です。
部員全員、コスプレ大好き、コミケ前には同人誌作りに励む、そんな部。
そしてこの、腐女子たちのトークがめっちゃ面白い。奥泉先生、どうしてこんなに腐女子の会話に詳しいの? どうしてさり気なく、テニミュとかHey! Say! JUMPとか出てくるの?
ちょっと長くなるけど、新入生勧誘のためにクワコーにもコスプレをさせようとする、彼女たちの会話を引用します。

「白衣路線でいくなら、クワコー先生にやってもらうといいかも」
(中略)
「あ、それいい。外科医とか」
「外科医って、けっこう王道かも」
「きたー、直江庸介」
「誰、それ?」
「白い影。って知らない? 中居がやったの」
「知ってる。ワタジュンでしょ。わたしけっこう萌え」
「どっちに?」
「ワタジュンに決まってるでしょ」
「出た、リカちゃんのジジイ萌え」
「アイルケ好きの女」
「でも、外科医だったらむしろ戝前のほうがよくない? 雰囲気的には」
「誰?」
「知らない? 戝前って。白い巨塔」
「知ってる、戝前。それ、けっこうヤバいかも」
「戝前教授の総回診でございます。って、研修医とかがぞろぞろついていくの。病院の廊下を」
「ほほう」
「研修医ってちょっと萌えるよね」
「萌える、萌える」
「私は患者の方が萌えるな」
「出た。ミズホンの包帯フェチ」
「および点滴フェチ」
「ほぼ変態」
「で、どうですか、先生的には(中略)やっぱり戝前がいいですかね?」
 あまりの急展開に桑幸が声を失っているところへナース山本が口を出した。
「戝前が駄目なら、ドクター・コトーっていうのもありますけど」


この、リアルでスピーディーな会話、まさしく私の知っている腐女子トークそのものですよ!
っていうかもう、この会話に入りたい(笑)。たらちね文芸部の飲み会混ざりたいww
作家の石田衣良さんも、この本読んで『混ざりたい』とおっしゃったそうですが・・・
いいんですか?
「やっぱキングは総受けでお願いします」
「じゃあ今回のお相手は、ツインタワーって事で」
「出た! イザクさん得意の『かわるがわる攻めたてる』攻撃!」
「キョーダインか!?」
みたいな会話が飛び交っちゃいますよ。それでもいいんですか?
(『キング』と『ツインタワー』はいずれも石田衣良の出世作、『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの登場人物)

学力偏差値は底辺でも、彼女たちの頭の回転が実に早くギャグセンスも鋭く、読んでてドライブ感があるとでもいいますか、気持ちいいです。彼女たちの萌えトーク、この本の最大の読みどころの一つですww
それにしても、なんで腐女子の会話なんて書く気になったんだろう、奥泉先生・・・。
逆に、この本苦手、っていう人の感想を読むと、この腐女子トークが駄目みたいですね。
うーん・・・確かに、この流行っぽい表紙を見てスタイリッシュな学園モノを期待した人は可哀想かも(笑)

さてさて、この本は、クワコーが巻き込まれた三つの事件を、文芸部のホームレス女子大生、ジンジン(神野仁美)が鋭い推理でズバズバと解決していく、シリーズものです。毎回、クワコーが可哀想な目に合うだけ(笑)で、誰かが死ぬわけでもないし、もうこの先いくらでも続けられますね。っていうか、続けて欲しいー!

どうしようもない中年男、クワコーが、だんだん可愛く見えてきます。
クワコーは本当に駄目な奴なんだけど、邪悪さがないんですね。他人を害するという事がない。っていうか、基本的に善良な倫理観の持ち主なのと、気が弱すぎるのとで、怖くてそういう事ができないんだと思う。
しかも自尊心も低いために、他人にいいように利用されてしまったり。他の教授に、苛められて泣いちゃったり。
更に、給料が安すぎてびっくりしたクワコーは、外食をやめて自炊を始めるんですが、けっこう料理が得意で節約上手だったり、お金を使わない生活に充実感を覚えちゃったり、もともと貧乏性、っていうのがまたいじらしくて・・・。
文芸部の女の子たちにも、威張ったりしないし。っていうかむしろ、可愛がられてるし。

あと、大学の教授たちの世界っていうのも、なんだか世界が狭くて人間関係がドロドロしてそうで怖いですね。
昔読んだ、筒井康隆の本(『文学部只野教授』だったかな・・・?)を思い出してしまいました。
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コメント

この本、渡部秀が出るドラマの原作だったので私も読みました。
おもしろかったー。
クワコーのキャラ、私も気に入りました。
ドラマの佐藤隆太はちょっとクワコーの印象と違っちゃってて残念でしたけど。
シューマンの指とはだいぶ趣が違いますよね。
私も読んだけど、腐女子の会話って気づきませんでした。
修行が足りんなあ。
イザクさんの引き出しが欲しいです。

モンジ君でしょうか?

渡部秀@仮面ライダーオーズ、がドラマに出ていたんですよね。
ドラマは見てないんですが、クワコーじゃないとすると、あの超おバカ大学生、モンジ君役かな。
モンジ君も愛おしくって大好きなので、ちょっとドラマも見てみたくなりました。
でも、クワコー=佐藤隆太はミスキャスト、って気がしますね。

奥泉先生は、ほんと芸の幅が広いです。
カルさんは、腐女子のお茶会とか飲み会とか、参加したことはないですか?
ほんとにリアルに、あんな感じの会話ですよ(笑)
私も、子供達が小さいころはなかなか参加できなかったんですけど、今は思う存分、楽しんでいますww
そして引出しは、年齢と共に増えていくものです(T.T)

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