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リヴァトン館リヴァトン館
(2009/10/16)
ケイト モートン

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昨年の「このミス」で高評価だった「忘れられた花園」の作者、ケイト・モートンのデビュー作。
「忘れられた花園」も以前に読もうとしたんですが、なんか、本筋に入っていく前の前フリが長すぎて挫折しちゃったんです。
で、この「リヴァトン館」もちょっと、そういう、話に入っていく前の思わせぶりな部分が長すぎてちょっと最初イラッとしたのですが、一旦話に乗り出したら止まらなくなりました。

「秘密の花園」「嵐が丘」「ジェイン・エア」などなど、ゴシック・ロマンと呼ばれるカテゴリの作品群、女性で読書好きの方なら一度は夢中になったことがあるはず。
この「リヴァトン館」もまさにそういう小説で、作者のケイト・モートンはオーストラリア在中のまだ若い女性作家ですが、心底ゴシックロマンが好きそうな感じが伝わってきて心地よいです。
舞台は20世紀初頭のイギリス。14歳の少女グレイスが、リヴァトン館にメイドとして働きに出るところから物語はスタート。強く勧めたのは彼女の母親で、実はそこにはある秘密が・・・って、もう最初から秘密と謎だらけですw
そして、1924年の夏の夜、このリヴァトン館である悲劇が起きる・・・。
この悲劇が何なのか明かされるのが最後なので、ミステリっぽい味わいもありますが、何といってもこの本の良さはイギリスの、没落していく貴族階級に使える執事やメイドたちの誇り高き仕事っぷりです。
カズオ・イシグロの「日の名残り」もそういう、輝ける時代の貴族と執事たちの働きぶりを懐かしむ小説でしたが、確かにその時代、主人と使用人との、古い名家の名誉と誇りの為に力を合わせる、幸福な関係があったのだろうなと思わされます。
この「リヴァトン館」では、第一次大戦を境にそうした英国の伝統が崩れ去り、アメリカの文化(ジャズ、断髪、コルセットのない服、タバコetc・・・)と資本が入ってきて古いものが忘れられていく過程も、当事者の目を通して描かれていて、読んでいて、改めて「20世紀って本当に激動の時代だったんだなあ・・・」という感慨を覚えました。
この時代を生きていた人たちは大変だったろうなあ・・・。あまりこの時代を舞台にした本を読んだことがなかったので、とても新鮮でした。

物語は、98歳になったグレイスが当時を思い出す、という回想から始まっていて、映画「タイタニック」を思わせます。
1924年夏の悲劇、その秘密を知っているのはグレイスだけ。少女だったグレイスがついた、小さな嘘が、すべてを破壊するような大きな悲劇の原因となってしまった・・・。
ハートフォード家のお嬢様であるハンナとグレイスの、友情と信頼、そしてもう一つの大きな絆。
旧家の誇りと、自分らしく生きたいとの欲求に引き裂かれるハンナの人生が悲しい。

そして、生き生きと描かれるのはリヴァトン館の執事、ミスター・ハミルトンやコックのミセス・タウンゼントの暖かくも厳しい仕事っぷり。読んでいるうちに彼らのことが大好きになってしまうので、物語の最期の方で、98歳のグレイスがリヴァトン館を訪れたときに彼らの亡霊が出迎えてくれるシーンでは思わず泣いてしまいました。
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