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飛行士と東京の雨の森飛行士と東京の雨の森
(2012/09/10)
西崎 憲

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「世界の果ての庭」で第14回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した西崎憲の幻想味の強い短編集。
非常に感想が書きづらいです。
面白いか面白くないかと言えば、面白くない(そもそも、ストーリーと呼べるものがほとんどない)。
文章が華麗とか、想像力が圧倒的とかいう事もない。
でも、読みはじめたら世界に引き込まれて止められない。

この、外連味のなさは純文学に近い感触で、実際、よく見るとほとんど幻想小説ではないのだけれど、なぜか読後感は良質のファンタジー。日常的な話も多いのですが、どこか、まったく違う場所に連れていってくれるような、現実の世界が飛ぶような感覚があります。遠く、距離、といった言葉の頻度が高く、今ここに居ながらにして魂だけが遠い異国に旅立っているかのような・・・。
特に表題作「飛行士と東京の雨の森」は、ウェールズから東京にやって来る少女の話ですが、「ぼく」とその少女は直接の関係がなく、友人の話として物語られ、「物語として面白い」というのと真逆の、何か静謐で硬質な、植物的あるいは鉱物的とでもいいたいような美しさをたたえています。
表題作の中には、例えば次のような文章もあります。

 遠方の場所を想うというのは特別なことだ。(中略)たとえば街の雑踏のなかでどこか遠い地を想うとき、その人物は灯台のようなものに変じているのではあるまいか。


・・・なにか、静かなる詩情といったものにあふれているのがお分かりいただけるでしょうか。
他の短編も、濃淡の差こそあれ、同傾向の詩情に染まっています。文章も、一見なんという事はないのですが、どこか緊迫をはらんでいて、読み飛ばすことができません。
普通のコップだと思って手に取ったら、厚さ0.1mmのガラスで出来ていることに気付いた、みたいな感じです(分かりにくくてスミマセンw)。

この人の本を読むのは「世界の果ての庭」に続いて2冊目です。「世界の・・・」の時は普通の幻想小説だと思ってあまり印象に残っていなかったのですが、何か文体だか世界観だかが確立されたような感じがします。個人的に非常に気になるテイストなのでしばらく注目してみます。
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