プロフィール

イザク

Author:イザク
好きな物・好きな人(順不同)

昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
西尾維新先生。舞城王太郎先生。荒木飛呂彦先生。奥泉光先生。円城塔先生。津原泰水先生。山岸涼子先生。松本大洋先生。三上骨丸先生。白鵬様。食パンちゃん。

カテゴリ

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


ゆみに町ガイドブックゆみに町ガイドブック
(2011/11/26)
西崎 憲

商品詳細を見る

またも西崎憲さんのファンタジイ。
この本、タイトルも表紙絵も、いかにも若い女性むけのメルヘンっぽい軽いファンタジーのような印象で、損をしていると思います。
読んでみても実際、前半部分はほとんど、本の好きな女性の一人称の語りで、日常的な生活ぶりが淡々と語られ、「ほんとにこれ、ファンタジイなの?」と思ってしまうのですよ。ところが半分くらいまで来た所で突然、何かが解き放たれるようにして現実の世界と虚の世界、どこともわからない異界の話がすごい勢いで展開していきます。

1)ごく普通の町であるゆみに町に暮らす自称作家の女性の話
2)人知れず、その町を設計しプログラミングし続ける男の話
3)ゆみに町とまったく関係ないけれどどこかつながっている異世界の話

この3つのパートは互いにつながりを持っているのですが、そこには確かな法則や関係性がなくて、後半は特に伏線と謎だらけで突き進んでいくような感じなのです。でも私はそういうのがわりと好きだったりするので意味がわからないながらも惹きつけられて読みました。
最後のほうは、話は明らかにカタストロフに向けて加速しているかに見えるのに、ページ数がどんどん少なくなっていって(えっ。コレどうやって終わらすつもりなの?)とか思いながら読んでいました。
結論からいうと、ラストは取ってつけたようで唐突だし、前半のあの日常生活の部分と後半の幻想小説の部分がうまくミックスされておらず、習作的というか完成度が低いというか、そんな印象を受けました。

ただこの人、この世ならぬものを視る、そのイマジネーションみたいなのが強くて、簡潔な文章力、描写力ともあいまって、1冊の本としてはまとまりがなく思えるものの、読んでる最中のトリップ感がすごく良いんです。
今までに読んだ、面白かった本をあれこれ思い出しました。
虚の世界と実の世界が、互いにからんでいく面白さには村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を。
外の世界に翻弄される、異世界の不思議な生き物たちのつつましい暮らしぶりには梨木香歩「沼地のある森を抜けて」を。
凪いだ水面のような静けさにはいしいしんじの「みずうみ」を。
謎は謎のままに何の説明もなく開けっ放しで終わっていく感じには、奥泉光の「葦と百合」を。

これらのファンタジーにくらべると、この「ゆみに町」はまだまだ荒削りという印象なのですが、やはり個人的に、好きか嫌いかでいうと、好きだなあこの人。
早く次の本が読みたいです。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://isaac936.blog.fc2.com/tb.php/586-6f22bc36

 BLOG TOP