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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
西尾維新先生。舞城王太郎先生。荒木飛呂彦先生。奥泉光先生。円城塔先生。津原泰水先生。山岸涼子先生。松本大洋先生。三上骨丸先生。白鵬様。食パンちゃん。

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(2010/07/29)
貴志 祐介

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2010年の「このミステリーがすごい」国内編で1位だった小説。
ようやく図書館の棚に並ぶようになったので読んでみました。

えー、まず、謝っておかなければいけませんが私は基本的にこの作者の貴志祐介があまり好きではありません。
なぜかというと、舞城王太郎の一世一代の傑作「ディスコ探偵水曜日」を読んだ時、私は感動して(これで今年の日本SF大賞は決まりだな)と思ったのですが、その年のSF大賞はこの貴志祐介の「新世界より」が取ってしまったのです。なので、この作者には逆恨みに近い感情を抱いているのでした。
読んだ本は「黒い家」「青い炎」「新世界より」そしてこの「悪の経典」ですが、面白いかと言われたら、どれも面白いです。特にこの「悪の経典」は、さすがこのミス1位だけあって、分厚い上下本ですが読み始めたら止まらず、一気に読んでしまいました。
だけど、なんかやっぱり、この人の本、好きになれない・・・舞城の恨みだけじゃないような気がする・・・(笑)
何というか、登場人物に感情移入できないんですよね。何となく、書き割りの中の人物が動いているのを眺めているみたいで。人物に、共感はできなくても、(そういう考え方、アリかあ!)と、読んでる側が納得できればいいんですが。存在感とか手触りが希薄、とでもいうのかな。ストーリーを進めるために出てきているキャラ、という感じで。

・・・のっけから文句タラタラですみません。でもこの本は、ほんとに面白く読んだのです。それだけに、勿体ないなあ、という気持ちで・・・。

私立晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実はルックスもよく頭脳明晰、熱心で授業も上手い、学園一の人気教師。
モンスターペアレントや集団カンニング、不良生徒に不良教師、問題が山積みの高校で、蓮実は精力的に生徒のために頑張っているのだが、実は、他人への共感能力を欠き、人を殺すことをためらわないサイコパスだった。
問題が大きくなりそうな時や、蓮実の正体に気付きかけた者を、蓮実は事故や自殺にみせかけて一人ずつ殺していく。だが、蓮実を疑うものは少しずつ増えていき、そして・・・。

最初、蓮実が本当にいい先生っぽく登場して、少しずつ、(あれっ?)と思う箇所が出てきて、気が付くとすっかりサイコパスとしての内実を備えた人物として描かれているのがまず、面白いです。読者も、最初ちょっと騙される、っていうか。
そして前半は、その蓮実の視点で読み進むのですが、途中から、あまりに蓮実の思考が単純というか冷徹というか、(邪魔だな。消そう。じゃ、こういう計画で)くらいの感じでポンポン進んでいくことについていけなくなり、むしろ蓮実に狙われる生徒たちの視線で読むことになります。後半は、蓮実が完全にモンスターで、ホラー映画のように(いつ来るか、いつ来るか)という緊張感あふれる展開です。
蓮実はサイコパスなので、読者がその思考について行けないのは、むしろ当然なのですが・・・

いくら常人とは思考が違うとはいえ、ちょっと蓮実が簡単に人を殺しすぎるのがどうも納得できず・・・いえ、良心の呵責が、とかそういう事を言っているんではなく、こんなにも関係者がバタバタ死んだら、いかに証拠の残らない完璧な計画だったとはいえ、怪しまれるに決まってるじゃないですかー! 蓮実は頭脳明晰なはずなのに、そういう所は馬鹿なのか? 殺人計画自体も、けっこう人目につくような杜撰(?)な計画が多く、バレなかったのはラッキーだっただけでは? と、つい言いたくなるものが多いです。
まあ、何て言うか、勢いで読み飛ばして「あー、面白かった!」で読み終わればそれでいい本、という気もしますので、難癖をつけるのもどうかと思いますが、やはり舞城の恨みは深かった、ということでしょうか・・・。

(以下はネタバレ感想なので「続きを読む」で)

前半のほうが蓮実の行動も緻密な感じで好きでしたね。私立学園の、やる気のない教師たちに苛立ちつつ、冷静に事を処理していくハスミン(蓮実の愛称)、マジカッコイイと思いました。教師という職業に憧れたこともあったけど、やっぱどこの世界も、やな奴の方が多い中でみんな必死に頑張ってるんだなあ、って励まされるような感じすらありました。
でも、そんなハスミンも殺し方がだんだん雑(笑)になってしまい・・・。
そして下巻でクライマックス、文化祭前夜の生徒大量殺人へとなだれ込むわけですが、ここでは主役は完全に生徒一人一人に移ってしまい、読んでる感じはむしろ「バトル・ロワイヤル」に近かったです。生徒が一人一人、個性的で、それぞれに殺人鬼に対抗するために知恵と勇気を出し合って頑張るのに結局あっさり死ぬ、という・・・w
(あ、この子、賢いし頑張ってる。助かって欲しいな)と思う子からじゃんじゃん殺されていくあたりは、「屍鬼」にも似ていると思いました。

バトロワは青春小説の傑作だと思っていますが、この「悪の経典」では、蓮実の非人間性を際立たせることに主眼が置かれているので、生徒たちが死に損な気もして、やはり後味が悪いです。

まあやはり全体としての感想を一言でいうと、「面白かったけど好きではない」です。こういうのを、愛が無い、って言うんですかね(笑)
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