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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
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九十九十九 (講談社文庫)九十九十九 (講談社文庫)
(2007/01/12)
舞城 王太郎

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舞城ファンになりたての頃、読もうとして冒頭からエログロ度の激しさに圧倒され、「これは無理だわ」と断念していた本。
あれから数年、「ディスコ探偵水曜日」や「ジョージ・ジョースター」を経験してきた今なら読めるんじゃないか? っていうより、そうだ! 舞城先生の未読の本がまだあったんじゃないかああ勿体ない勿体ない、と思いついて急いで読んでみました~!

美しさのあまり、生まれ落ちた瞬間から、その顔を見た人が全員気を失ってしまうという、超絶美貌名探偵、九十九十九(ツクモジューク)。
もともと、清涼院流水のミステリシリーズ「JDCシリーズ」に登場するキャラクターだそうです。清涼院流水の本は未読だったのですが、こんなキャラがぞくぞく登場するんならちょっと面白そう。
ちなみに、西尾維新先生の「ダブルダウン勘繰郎」のシリーズもJDOの二次創作(JDCトリビュート、と言うらしい)だそうで、ますます興味を引かれました。
九十九十九は、最近では「ジョージ・ジョースター」に登場したおかげですっかり有名になりましたが、もともと清涼院流水のキャラだったことを考えると、それを更に荒木先生のジョジョワールドにブチ込む舞城先生の荒業にはほとほと感服します。

(この先ややネタばれ気味)
さて、「ジョージ・ジョースター」の九十九十九(以下、「ツクモ」と略)は割と普通の美少年探偵でしたが、この本のツクモはあまりの美貌ゆえに産院にて殺されそうになる所を看護婦によって拉致され虐待され(グロい)、外に出してもらえず田舎屋の地下室に閉じ込められ、そこで美貌の双子兄妹(セシルとセリカ)の性的玩具になる(エロい)、という・・・
最初の30ページくらいでこの勢いですからね、耐性の無かった過去の私が本を閉じてしまったのも無理はありませんでした。
しかし今は何の抵抗もなく読めちゃうんだなこれが(笑) 人間、歳をとるのも悪くはない、って事ですね(笑)
さて、ある殺人事件をきっかけに地下室を出たツクモは、明晰な頭脳を生かしその事件を名探偵的に解決してしまう。そして自分を追い続ける元看護婦の手を逃れるために調布に移り住み、女の子の部屋で暮らすようになる。そんな中、「幻影城」と呼ばれる建物の内部で、奇妙な連続殺人事件が始まる。そしてツクモの元には、作家である清涼院流水から、「第一話」「第二話」「第三話」・・・とタイトルのついた原稿が(いろんな方法で)送られてくる。それらは、この本のツクモのことを描いた原稿。
つまり、第三話のツクモ(栄美子という女の子と暮らしている)が読んでいるのは第二話で、第二話(泉と梓とネコという三人の女の子と暮らしている)のツクモが読んでいるのは第一話(産院で生まれてから事件をきっかけに田舎町を出る所までが描かれている)、といった具合。全部で七話あります。
本の中の本の中の本の中の・・・、という具合に、この調子で現実を否定し続けメタにメタを重ねて、もう途中から何が何やら、です。
私は意味が分からなくても気にならないタイプの読者なのですが、キチッとしてなきゃ嫌だ、という人には辛いかも(笑)
この、現実がグシャグシャしていく感じはやはりストレートな初期作品の中では異色で、「ディスコ探偵」や「ジョージ・ジョースター」に近いです。「ジョージ・ジョースター」に、荒木先生の世界に対する全力の尊敬と、愛ゆえの世界の破壊(と再構築)が感じられるように、この本もおそらく清涼院流水の世界の破壊と再構築を目論んでいるのではないでしょうか。未読なのでわかんないんですけど。
そして清涼院流水へのリスペクトから書かれているわりに、当人の扱いがヒドイ(笑)
「この清涼院流水。マジで死んで欲しいの。」なんて言われちゃったり(笑)
キリスト像の代わりに磔刑になってたり(笑)

そして幾重にもかさなった作中作中作・・・の中で繰り返し語られるのは、ツクモが得た恋人と、彼女との間にできた三つ子の男の子への愛、そしてささやかだけれど安らぎに満ちた生活の幸福。
それらがすべて、メタメタメタに否定されていく時、僕(ツクモ)とは一体何者なのか。

ストーリー的には、申し訳ないくらいまったく分からなかったし附いて行けなかったのですが、エロやグロと同じテンションと分量で語られる、そんな舞城ワールドの「愛」が切なくて、他の誰の本でも得られない「舞城だ~!」という深い満足と共に読み終えることができました。
いろんな意味で過剰な本ですが、結局のところ、若い「僕」の、「自分」をめぐる物語なのかなあ、と。

あと、清涼院へのリスペクトなのか、頻出するミステリ的な「見立て」が可笑しい。
聖書の見立てはおそらくテーマに直結してるんだろうけど意味がわからなくてスミマセン。
笑ったのは、「公園のトイレが綺麗だから<御手洗潔>」という見立て。「杉の木のちょっと上を走りえた。<木>の<一寸><上>だから村上(春樹)」とか(笑)
全編、そういう言葉遊びというか無理やりな見立てに満ちていて、バカミスとして読んでも楽しさ満点です!

多分、私にはこの本の成分の30%くらいしか味わえていないんだろうけど、それでも好きだからこんな感想で勘弁してください(苦笑)
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