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イザク

Author:イザク
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昔のSF。宇宙とかロボットとかそういうSFっぽいもの。
本一般。映画一般。特撮ヒーロー。仏像。友情モノ。
西尾維新先生。舞城王太郎先生。荒木飛呂彦先生。奥泉光先生。円城塔先生。津原泰水先生。山岸涼子先生。松本大洋先生。三上骨丸先生。白鵬様。食パンちゃん。

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飯田橋ギンレイホールといえば、都内在住の映画好きの方(そして、ある程度以上の年齢の方)なら一度は行ったことがあるのではないでしょうか?
ロードショウが終わったものの、まだフィルムが出回っている映画を2本立てで、良心的な価格(一般1.500円。一年間利用できるパスポートは10.500円で映画が見放題!)で公開している古くからある名画座で、映画のセレクションも、少々くろうと好みです。館長さんの趣味の良さを感じます。私も、学生時代はよくお世話になりました。当時は貸しビデオ屋さんがなかったので、こういう映画館はありがたかったです。
大学で映画研究会に入っている下の娘が、先輩たちとこの2本立てを見に行って、いたく感動して帰ってまいりましたので、私も今朝早起きして数十年ぶりにギンレイホールに行ってみました。

朝から強い雨でしたが、9:30からの上映にけっこうお客が入っていました。年配の紳士やご婦人で一人で来ている方が多く(私もその一人w)、受付で顔パスで入る常連さんらしき人や年間パスポート利用者が多いのには驚きました。
みんな、若い頃から映画が好きでここに通い詰めてる人たちなんだろうなあ・・・と、しばし感慨にふけります。
館内は、300席くらいだと思いますが小ぢんまりしていて、スクリーンに水色のカーテンがかかっている所とか幕間に小粋な軽いジャズが流れている所とか、あと良いのが上映中、非常灯が少なくて館内がほぼ真っ暗になるところ。
昔なつかしい、昭和の映画館の風情が心地よいです。

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娘が感動して家に帰ってきてこの映画について語りまくるので、重い腰を上げて久々にギンレイホールまで行ってみたわけですが、想像以上に心を揺さぶられてしまいました。題名を聞いたこともなかったのですが、キネマ旬報でこの年の日本映画1位を取っていました。「映画好き」とこのブログにも書いているのに、嗚呼、自らの無知が恥ずかしい。

1959年から84年まで続いた、「帰国事業」と呼ばれる北朝鮮への集団移住。《地上の楽園》と宣伝されていた北朝鮮に、日本で差別や貧困に悩む9万人以上の在日朝鮮・韓国人が渡ったという。北朝鮮と日本の間には、国交が樹立されていないため、帰国者たちの日本への再入国はほとんど許されていないという。
主人公のリエ(安藤サクラ)は未婚の在日朝鮮人。生まれた時から東京で、喫茶店をいとなむ両親と暮らし、外国語学校の講師として働いている。兄のソンホ(井浦新)は、北朝鮮への愛国心の強い父親の意向で16歳の時に単身、北朝鮮へ「帰国」したが脳に腫瘍が見つかり、治療のために、25年ぶりに3か月間だけ日本への帰還を許される。
待ちに待った再開、家族が一同に集い、喜ぶリエと両親。16歳だった時の友人たちとの再会。日本の商店街を歩き、病院で検査を受けるソンホ。
しかし、ソンホは北朝鮮の内実、現地での生活については何もしゃべれない。ソンホの行動は常に北朝鮮から同行してきた監視員(ヤン・ヨクチュン)によって見張られており、ソンホは日本の歌を歌うことすらできない。
3か月はあるはずの滞在期間は、「上」からの命令によって突然打ち切られる。「なぜ?」と問う事はできない。上の決定は絶対だから・・・。
「思考停止は楽だよ」と、淡々と自分の人生を受け入れていくソンホ・・・。

現在の日本に住んでいて、「生まれながらの運命」とか「家族の宿痾」とかいったものを、ほとんどの人はまったく感じることなく一生を終えるのでしょう。しかし、「在日」と呼ばれる人たちの人生はこんなにもドラマチック(と言っては失礼で申し訳ないのですが)なんだなあ、と。まずそれに驚くというか。
このブロクでも自分は最近、韓嫌になっていて「在日は帰化か帰国かどっちかにして欲しい」などと書いたりしていますが、当事者にとってはそんなに簡単なものじゃあないんだな、と。
まあ確かに、在日であるがゆえの立場を利用して悪事を働く人達もいるわけですが、この映画に出てくるような普通の人々にとっては「ザイニチ」であるという状態は、国と国との間で個人の力では身動きがとれずにもがくしかない状態なのだなあ、と。
しかも二重に大変そうなのが、現在、北朝鮮と韓国が敵国同士であるという点。だから「北」の出身のリエの家族は、韓国への入国が禁止されている。
ソンホが、冗談まじりのようにしてリエに、「聞いた事をある決まった人に伝える仕事をやらないか?」と問いかける(つまり、北朝鮮のスパイ、工作員にならないか、という意味)場面があります。「あたしが断ると、オッパ(お兄ちゃん)が困るの!?」と激昂するリエ。監視員のところに出向き、「大嫌い! あんたも、あんたの国も!」と怒鳴ります。するとその監視員が煙草を吸いながら、
「その大嫌いな国に、私もあなたのお兄さんも生きています。死ぬまで生きています」
と静かに答える場面が凄い。心を持たないように見える監視員も、悲しみや苦しさや、いろんなものを殺して必死に生きているんだなあ、と。
ラスト、兄が気に入っていた上質なスーツケースを買いに走るリエ。兄の分まで、自由に考え自由に生きようと決意したリエの雄々しい姿がこの映画の一抹の救いとなっています。


監督のヤン・ヨンヒの実体験にもとづいて作られた映画だそうですが・・・。
毎日の暮らしのなかで、ここまで「生きるとは?」「人生とは?」「自由とは?」といった根源的な疑問を己に問いかけることがなく、それだけに、ズシリと重くかつまた引きこまれて一瞬も目が離せない映画になっています。
まったく救いのない話なのですが、それでも見終わって暗さがあまり残らず、目線の先に希望の光が見える気さえするのは、リエを演じた安藤サクラの、野生動物のような圧倒的な生命力にあふれた存在感のおかげなのではないでしょうか。美人の顔立ちではないのですが、体格が良く手も足も伸び伸びとして、何か内側からあふれ出すようなパワーがあります。私はこの女優さんが大好きなんですよー。「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」も良かったです。
そして、兄のソンホを演じる井浦新(ARATAより改名)。
この人がまた、いいのよ~!
ARATAは「空気人形」の時のビデオ屋さん店員役が好きなんだけど、この人も顔立ちは別にイケメンじゃないんですよね。でも、全身の醸し出す雰囲気が品があって上質な感じ。全身の骨格とか姿勢とかバランスとかが良くて、あとはやっぱり基本的な演技力みたいのがあるんでしょうね。この感じは若い頃の永瀬正敏に近いと思う。
感情をほとんど表に出さず、淡々と粛々と運命に従うソンホの、内面の揺れをほんのちょっとの表情や言いかけの言葉などで表現しつくしていて絶品です。ラストの「白いブランコ」には涙が止まりませんでした!
北朝鮮で、あまり栄養のあるものを食べてなさそうな、あまり俗っぽい快楽(キャバクラとか?w)に溺れてなさそうな、油っ気の抜けた年齢不詳な少年っぽさを残したたたずまいも、じつにそれっぽい。ARATAあらため井浦新、あらためて、良い役者です!

とっつきにくそうに感じるとは思いますが、個人的には今年見た映画のベスト1にして良いと思う(ただし、「パシフィック・リム」「モンスターズ・ユニバーシティ」はまた系列が別、って事でw)傑作なので、機会がありましたら是非ごらんになってください。人生観が変わるかも、です。
あと、在日朝鮮人・韓国人問題に関心のある方、こういう側面もあるんだな、って知っておくのも大事だと思います。

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こちらはもう、普通にすごく面白い映画。面白すぎて、ちょっとラノベくさい(主人公が本に囲まれ猫を友とする眼鏡草食男子、とかw)。
一冊の辞書を作るために、10年以上もかけて地味に言葉を探し続ける人々の物語で、いかにも日本人的な「この道ひとすじ」なオジサン達の姿は、「天地明察」にも似ていると思いました。新しい言葉をついつい書きとめてしまう「用例収集」が面白いです。クセになりそうw

とにかく主役のマジメ君(松田龍平)がイイ。色白で、鼻から口元、アゴの線が美しい。
ひたすら不器用で言葉が出なくて、でも実直で。
下宿のオバサンの孫娘(宮崎あおい)に一目ぼれした翌朝、辞書編集課の西岡先輩(オダギリジョー)にどつかれてガクガクッと膝から崩れて地面に倒れてしまうところなど、何とも言えぬ可笑しさです。
チャラチャラしてるけど少しずつマジメ君と心を通い合わせる西岡先輩の、色気があって小器用な感じ、さすがはオダジョーです。芝居が上手いです。
宮崎あおいは、一途な旦那を支える健気でちょっと意志の強い女の子、という、これまた「天地明察」と同じ役どころで、まあ鉄板というか。でも役名が「かぐや」なのはどうかと・・・(ラノベっぽさポイントその2)。

原作は本屋大賞を取った三浦しをんの同名の小説です。
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うーん・・・。私、この人の本は「まほろ駅前多田便利軒」(直木賞受賞作品)が初めてだったんで、どうも「BL作家」というイメージが抜けないんですよね(苦笑)。この映画でもマツリューとオダジョーで、時たま「オッ!?」って思うことがありましたw
そういう、女子向け要素も盛り込まれつつ、誰が見ても面白い映画だと思います。普通にオススメ。
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